猫雪晴の本箱

つれづれなるままに本の感想を紹介

現代人が忘れかけているこころの交流【西の魔女が死んだ】梨木香歩

暑い日には、涼しい部屋で本を読むに限りますね。こんにちは。猫雪晴です。

今回紹介するのは、梨木香歩さんのデビュー作にして代表作「西の魔女が死んだです。有名な作品なので、読んだことがある方も多いのではないでしょうか。

 

こんな人に読んでほしい

・人間関係に悩みがある

・都会の生活に行き詰っている

・こころ温まる、交流物語が読みたい

 

あらすじ


学校での人間関係がうまく行かない主人公・まいは、リフレッシュを兼ねて、おばあちゃんの家でしばらく過ごす事になる。

おばあちゃんは自然の中で、自然と共に暮らしていた。はじめは戸惑っていたまいも、自然と一緒に生きるおばあちゃんとの生活の中で、徐々に心と身体を解放していく。

ある日の出来事をきっかけにして、おばあちゃんから“魔女修行”を受けることになるまい。それは想像していたものとはだいぶ違っていたけれど、魔女になるための心構えを少しずつ身に付けていく。

感想など

 


魔女に必要なのは、自分で決断すること。



始めて読んだのは、たしか中学生だったかなと思います。梨木さんの「裏庭」という作品を読んで、梨木さんのファンになった私は、この「西の魔女が死んだ」にも自然と手が伸びました。まずはそのタイトルからして印象的です。

 

「死んだ」というタイトルからは不穏な感じがしますが、実際は非常にハートウォーミングな内容です。


この作品は、読んだ時の年齢やその時の自分の状況で受け止め方がかなり変化すると思います。それもこの物語の魅力の一つかもしれません。今回この投稿をするにあたって、再読してみた私自身も、初めて読んだ時とは印象が大きく変わったように思いました。

前回はまいに感情移入をして、一緒に魔女修行を受けているクラスメイトの様な気分でページをめくっていました。


今回はおばあちゃんに気持ちが移り、どうしたらまいが前向きになってくれるだろうか、自分自身の人生を幸せに歩んでくれるようになるだろうか…と考えながら読み進めました。



多くの自然に囲まれた家で、ジャム作りや、布団の干し方などなど、現代社会を生きる我々がどこかに忘れてしまった生活にも魅力を感じます。しかも、それが決して押しつけがましい訳でなく、ただありのままに生きている姿が非常に良いです。

それはおばあちゃんの言動や、行動のひとつひとつからにじみ出ています。


梨木さんの代表作であり、梨木さんらしい作品。時を経て、また読み直したいと思う作品です。

 

 

 印象に残った言葉など

 

 

「そうね、何が幸せかっていうことは、その人によって違いますから。まいも、何がまいを幸せにするのか、探していかなければなりませんね」


「根性という言葉は、やみくもにがんばるっていう感じがしますね。おばあちゃんの言う精神力っていうのは、正しい方向をきちんとキャッチするアンテナをしっかりと立てて、身体と心がそれをしっかり受け止めるっていう感じですね」


「魔女は自分の直観を大事にしなければなりません。でも、その直観に取りつかれてはなりません。そうなると、それはもう、激しい思い込み、妄想となって、その人自身を支配してしまうのです。」

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

また素敵な本と出逢えますように…